光を纏う女

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■いずれも作者ならではの独特な味わいを持つ以下の3本で構成された、おトクな短編集です。

・エロティックでちょっと不気味で美しい不思議なサスペンス短編『光を纏う女』

(『月刊群雛2015年8月号』に掲載され、好評を博した作品です)

こんな調子で始まります。

“金糸銀糸を纏う女が、俺を誘惑していた。ダブルオーセブンのゴールド・フィンガーで見たような金箔まみれではない、有機的ななまめかしさを感じさせる不思議な光りかただった。まさに、肉体に直接刺繍を施したように、女の肢体はキラキラとしなやかに煌めき、揺らめいていた。

そうだ、間違いがなかった。女は俺を、誘惑しているのだ。俺は身を乗り出して………”

 続きは本編にてお楽しみください!

・シュールレアリスム的な掌編『波』

こんな調子で始まります。

“砂浜を歩く私の足下には白く泡立った波が渦巻いて、私の角張ったかかとをさらおうとしていました。私は沖へ向かって、少しずつ歩いていたのです。黒っぽい重い砂に少しだけつま先をめり込ませながら、私は歩いていました。

数歩進んだとき、私は感じました。ゆるゆると動く水の屈折を通して見える私のゆがんだ足先が、波のその下へと抜けていたことを。

その下? その下は砂のはずでした。けれども……”

 続きは本編にてお楽しみください!

・SFミステリー風味の短編『瞳』

“右足、左足、右足、左足、右足、左足、右足、左足!

左手、右手、左手、右手、左手、右手、左手、右手!

ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!

フッ、フッ、フッ、フッ、フッ、フッ、フッ、フッ!

飛べ! 無理だ! 曲がれ! 滑るな! 転ぶなアアッ!

真っ暗だ、真っ暗じゃないが、真っ暗だ!

目が合っただけだろう、いや、目すら合ってないだろう、なんなんだ、この男、いや、男かどうかも分からない。サングラスをしてた、帽子を被ってた、俺を見てた、そうだ、俺を見てた!”

 なんとも、スリリングな始まり方ではありませんか!

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Size
1.07 MB
Length
17 sections
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